高等学校の今日的な課題は、ICTによって物理的な空間だけが学校ではなくなってきていることや、創造的・探究的な学びが求められていることなど、一斉的・均質的空間が現代の多様なニーズに合わなくなってきていることだと考えられる。小諸のまちと新校の新しい学びの向かうべき姿は「ありふれた日常」から小諸ならではの価値を問い直すことだという観点から、次の3つを基本方針として整備する。
1.学校内部のみの論理で計画するのではなく、誰が、どこで、どんな活動をしているかをまち全体のモノとコトの関係と捉えて、学校の外部的・長期的視点を同時に計画する
2.増築+改修であることから、既存校舎の形式の今日的な課題(主に標準設計によるもの)を補い、改善する配置・接続計画とする
3.県と設計者だけでなく、生徒、教員、保護者、まちづくりNPOといった多様な主体と共に議論し進めることで地域住民の主体的な参加を促し、プロセスも学びとする
以上を踏まえて、3科が融合し交流することで起こる個別的で多様な学びの場が、学校とまちの諸活動へ溶け合っていくイメージを下に示す。学校を含むまち全体のモノやコトの分布をイメージしてみると、学校とまちの活動は発表、研究、生業、といったまとまりで捉えることが可能であり、モノとコトの分布の場所ごとの再構築こそが必要となる。そのプロセスは、まちの機能や文化の持続可能性を強化していくことに繋がりうる。したがって、この関係の全体が新しい小諸新校の学習空間である、と捉えることで、実はこのプロジェクトは学校をつくるだけではなくまちを再編することにつながるというヴィジョンを持つべきだと考える。生徒や教員や市民それぞれの異なる関心や興味をもとに、学級に固執しなくても誰もが主体的・探究的に関われるような、選択可能で濃淡をもった多様な空間的設えを計画する。